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キトラの朱雀

剥ぎ取り作業が進められているキトラ古墳の、朱雀の剥ぎ取りは不可能、とのニュース。
なんでも、薄いところでは漆喰が1.5ミリしかなく、3.4ミリ以上の厚さがない漆喰を無理に剥ぎ取ると粉砕の懼れがある、とか。

で、専門家の間では、解体保存を、という声と、現地に保存して将来の技術発展に委ねるべき、という声があるとかないとか。
んで、解体保存がなんでダメかってと、認めると、現地保存の意義が低くなる、ってことらしい。

ふ~ざ~け~ろ~よ~(怒)

刻々と変化する自然環境を配慮せず、指定された一点を、僅かな面積のみに「現地保存」のお題目を振りかざした結果が、今の事態を招いたのだ。
高松塚にしろ、キトラにしろ、解体、剥ぎ取り、の道を選んだ時点で、文化庁は「現地保存」の歪みを認めたのだ。
古墳の外に持ち出し、古墳の原型を損なってでも壁画を保存すると決めたのなら、貫けばよい。

勿論、「現地保存」の意義を、頭から否定するつもりはない。
その土地、その場所にあってこそ輝きを増し、意義を持つ文化財も当然、ある。
だが、人が生活していき、時が過ぎていく限り、環境は変わるし、形あるものはいつか朽ちる。
自然の中で朽ち果て、消えていくのもまた自然。
「現状保存」の考えを貫きたいなら、キトラの壁画だって、一つの古墳、一つの壁画の終焉を、それこそ現地で「記録保存」しておけばよかったのである。

剥ぎ取り、という手段を選んだ時点で、自然に逆らい、人為に頼り、現状を放棄したのだ。
かくなる上は、なんとしてもキトラの壁画を、救って欲しいと思う。
そうでなければ、既に剥ぎ取られた壁画も、内臓を抉られた古墳も、報われない。

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